多くの人が当たり前だと思っているサッカーの常識を作り、サッカーの王様と呼ばれる最高のサッカー選手“ペレ”。

引退から40年たった今なお、その輝かしい記録の数々は色褪せず、レジェンドとしてその座に君臨し続ける。

国際オリンピック委員会から“20世紀最高のアスリート”と評された彼は、スラムしか知らない少年だった。

洗濯物を丸めたものをボールがわりにし、大会には裸足で出場する、決して恵まれているとは言えない環境で育つ。

しかしその20年後、ペレのプレーを見るために、戦争が停戦した。なぜ彼は、底辺と呼べるような人生から、世界を変える存在になり得たのか?

世界中がそのプレーに魅せられ、彼が背負う背番号“10”がエースナンバーへと称されるようになる感動の実話が幕を開ける。
 

 
ブラジルのスラムから生まれたサクセスストーリーは多くあるが、ペレがスポーツ界最高峰の大会でチームを優勝に導き世界を変えたことほど、想像を絶するドラマはないだろう。

1950年、自国開催のW杯で敗れたブラジルチームは自信を失い、国民は絶望した(マラカナンの悲劇)。

サッカー国際化の波の中、組織的ではなく個人に頼ったプレーが前近代的で未熟である、と欧州各国から揶揄された。

さらに、怪我を負い変形した身体すら差別の対象にされたブラジルは、あるべき姿を見失ってしまう。さらに、ペレは監督からプレースタイルを否定され、チームの軋轢に揉まれるだけでなく、観客からもブーイングされる。すべてが逆風と言える状況の中で、たった17歳の少年が母国を優勝に導くために求められたもの――そこには、サッカーのスキルだけではない信念の強さ、そして決断の物語があった。

絶望の淵でペレが選んだのは、絶望を希望に変える“禁じられた切り札”。

自身の存在さえ揺るがす困難な状況に陥ったとき、あなたはペレのように、自分を信じる決断ができるだろうか?